タイトル | ○○○○さんレポ 晩秋編 |
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投稿者 | タケゾー5 |
投稿日 | 2018年12月21日 |
『○○○○さんレポ 晩秋編』 夜11時、新宿西口。 それが、ヒロスエさんの指定した時間と場所でした。 例によって、20分近く遅れてきたヒロスエさん、 「遅くなっちゃってごめんなさい」 いつも謝らないくせに。 今日みたいな日、謝らなくていいんだよ。 そして、 痩せちゃってない? 車を走らせて、少し離れた夜中までやっているエスニックレストランへ。 ヒロスエさん、意外と元気、意外と笑顔、意外と食欲あり。 に、見せていることくらいはわかります。 食べている間はできるだけ楽しい話題。 生春巻の美味しさとか、タイ風焼鳥のこれ焼鳥じゃないだろ感とか、エビのスパイシー炒めのちょっと暴力的なスパイシーっぷりとか。 デザートを待つ頃からヒロスエさん、少しずつ自分の気持ちを話しはじめます。 自分のほんとうにやりたいことをしたい。 いろんな人の顔色を伺いながら、ものをつくりたくなんてない。 信頼できる人と一緒にする仕事は楽しいけど、今まわりにいる人たちは、みんな自分の都合しか考えてない。 青臭いですかね。 30過ぎた人間のいうことじゃないですかね。 でもタケゾーも、ヒロスエさんより少し年を取った頃に、自分のやりたいことをしたいから、と前の会社を辞めているのです。 嫁も、小さい子供もいるのに。 たぶん、今のヒロスエさんと同じ気持ちで。 そして実際に、今そうできてるかどうかは別として。 ヒロスエさんが本当の彼女なら、言ってあげたいことはたくさんありました。 けれど、仕事に関することでなく、ヒロスエさんの人生に対しては、何かを言ってあげられる資格はタケゾーにはありません。 だから、 今じゃなくて、落ち着いてからゆっくり考えなよ。 しばらく黙っていたヒロスエさん、 「・・、手」 え? 「手、貸してください」 右手を差し出すと、両手で握りしめて顔を伏せ、小さな声で、 「・・、なんか、・・悔しいな・・」 この日は、涙を見せませんでした。 正確には、見せないようにしていたのだと思います。 もしかしたら、タケゾーが見ないふりをしていただけかもしれません。 夜中の2時すぎ、ヒロスエさんを送って行ったのは、東京のはずれの小さな一軒家、ではなく、割と都心の、駅から少し離れたコンビニの前でした。 この日、彼氏には話してもわからないから、という言葉を何回か聞きました。 だけどやっぱり、ちゃんと話をした方がいいんじゃない。 そのほうがいいと思うよ。 なに自分に都合のいいこと言ってるんですかね。 俺は引き受けられないから、といってるのと同じことじゃん。 これ、ほんとひどいな。 ほんとに、ひどい。 ほんの3カ月くらい前、学生みたいなノリで、ちょっと軽い感じで、楽しけりゃいいじゃん!って、人より近い関係になった時は、こんな気持ちになるなんて、想像することできませんでした。 俺は、 ヒロスエさんに、 どれだけ寄り添ってあげられてるのだろう? その状況に、その立場に、 そして、 その気持ちに。 その何日か後、タケゾー、ひとつ年をとりました。 12時を過ぎてすぐ、 おめでとうございますー! というラインが。 ほんとに、学生ノリじゃん。 涙が出そうになりました。 今、すごく忙しいはずなのに。 まだ、会社にいるのかもしれないのに。 そういえば去年は、誰が着るんだよ、という変な柄のTシャツを貰ったっけ。 なんとワンコインだったんですよ、といういらない情報つきで。 お返しは、出張先の大阪で買った、たこ焼きの形のピアス。 嬉しそうに袋を開けて、中身を見たヒロスエさん、 で、これをわたしにつけろという訳ですか、 そういったっけ。 そしてようやく、ようやく、ヒロスエさんを大いに悩ませていた案件が、終わります。 それから少しして、ヒロスエさんから短いライン。 「社長に、辞めるって、いっちゃいました」 ごめんなさい、2回でも書ききれませんでした。 さらに、続きます。 | |
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