タイトル | ○○○○さんレポ 初冬編 |
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投稿者 | タケゾー5 |
投稿日 | 2018年12月22日 |
『○○○○さんレポ 初冬編』 「社長に、辞めるって、いっちゃいました」 そっか。 うん、いいと思うよ。 時期決まってるの? 「1月末、です」 じゃあ、もう一緒にやる案件ないね。 「そうですねー、残念!で、また新たな問題がでて、ちょっと相談したいので、今月時間ないですか?」 んっと、○日なら、出張から戻った後大丈夫だよ。夜9時くらいになっちゃうけど。 「じゃあ○日、時間もらいますー!」 出張からの戻り日、いつも降りる新横浜を通り過ぎ、品川から渋谷に向かいます。 この日は時間通りにやってきたヒロスエさんと、駅の近くのチェーンの居酒屋に。 半個室にはなっているものの、店内は若い子たちで賑やかです。 そしてこの日は、ヒロスエさんもよく喋ります。 主に、最近関わったいろんな人の悪口を。 もー!聞いてくださいよー! みたいな感じで。 ま、いいさ。 いっぱい吐き出しちゃいな。 ですが、タケゾーの会社的にはある種恩人でもあるヒロスエさんの会社の社長の悪口になったら、さすがに苦笑いでスルーするしかありません。 あの人、あの子はちゃんと別にやりたいことがあるからって、理解はしてたんだよ。 でも、会社を辞めることに関してはヒロスエさん、もう迷いがない感じです。 「とりあえず、作品つくりますよ。全然やれてなかったから。失業保険もちょっとはでるはずだし。ヤバいって思うまではそっちに集中ですね」 らしい態度と、らしい言葉だな。 そういえば、10年前に初めて会った時も、タレ目のくせに意思が強そうな顔してるなー、と思ったっけ。 ヒロスエさんの会社での打ち合わせの際に、このコ今年の新人だから、と紹介されたのが最初。 髪がショートで緑で、耳は両方ピアスだらけで、いかにも美大出ましたって感じで、尖ることが自己主張みたいに口数も少なくて。 そんな女の子が、実はそこそこしっかりしていて仕事もちゃんとできて、なかなかやるじゃんこの子、と思って仕事を振るようになって。 慣れてくると、物怖じせずにどんどん自分の意見をぶつけてきて、そしてそれがちょっとセンスよかったりして、一緒に仕事するのが結構楽しくて。 そりゃ、ダメな時はキツイ言い方をした時もありましたが。 それでも、タケゾーさんとこから来る仕事は面白いですから、といってくれて。 だけど、去年の春くらいにヒロスエさん、タケゾー案件でクライアントさんを怒らせるような失敗を。 いや、作り手側にとっては、決して失敗ではなかったのですが。 よかれと思ってやったことはよくわかったので、ま、いいよ、しょうがないよ、大丈夫だよ、なんとかなるよと、ほんとに大丈夫かどうかヒヤヒヤしながらいうタケゾーの前で、泣くまいとしながら頭を下げるヒロスエさん。 その後のフォローはいろいろと面倒でしたが、まあ、なんとかなるもので。 そして、それまでと違う感情が生まれたのは、たぶんこれがきっかけです。 もっとわかりやすくいうと、自分が悪くて謝ってるのに、あたし泣いたりしちゃダメじゃん、と必死に耐えているヒロスエさんの姿に、心のどこかが動いてしまったのです。 そしてヒロスエさんも、これ以降、以前とは少し違う振る舞いを見せるようになりました。 すっかり心を許してくれたような、そして時には、甘えるような。 1時間くらいたったでしょうか。 一通り悪口を言って満足したらしいヒロスエさん、最後のチキン南蛮を口にしながら唐突に、 「なんか、彼氏が春に九州に転勤なんですって」 そうか、この話がしたかったんだ。 急に、店の中が、静かになった気がしました。 それで、何か言われたの? 「何も」 そうなんだ。 アラサー、交際歴2年と少し、8か月くらい前から半同棲中、そして彼氏の転勤。 この場合の、何、は言わなくてもおわかりですよね。 「どうすればいいと思います?」 それ、俺に聞くかな。 「聞きますよ、そりゃ」 ・・・・、それは、九州に行くかどうかってこと? 「行かないすよ。やりたいことあって大学入る時に九州から東京でてきて、なんでまた九州に戻るんですか」 ・・・・・。 「って、今は、思ってます・・・」 ・・そう。 「ちゃんと何か作りたいんですよ。やっと時間できるから。そっから先のことは、先になってまた考えます」 じゃ、答え出てんじゃん。 「そーゆーことじゃないですよ」 ・・・・・。 「・・・・・」 ・・・、前にも言ったけど、彼氏とそういうこと、いろいろちゃんと話した方がいいと思うよ。自分が、どうしたいとか、そういうこと。 「・・・、そう、ですね」 ・・・・・。 「・・・・・」 ・・・・・。 「・・・・戻ればいいんですよ、って言った話、覚えてます?」 ・・・あぁ、あれね。 「あれって、・・・」 いや、覚えてるよ。池袋の、夜中のバーでしょ。 「・・・そろそろ、・・・戻りますね」 ・・・そうだね。 「・・・・・」 ・・・・・。 「・・・あ、でも、冬の温泉、行きましょうよ。2人で。草○むっちゃ楽しかったし」 温泉? 「やっぱ、夏じゃなくて冬に行かないと」 はは、温泉好きだねー。 「あれ、足湯がいちばん熱かったですよねー」 あはは、熱かった熱かった。 そして、そろそろ終電の時間。 お会計をすませた後にヒロスエさん、 「はいこれ」 と小さな包みを。 「お誕生日プレゼント、です」 開けてみると、ヒロスエさんの好きそうな和柄の、文庫本カバー。 「家で余ってた生地でちゃっちゃと縫ったんで。原価ゼロ円で製作時間一瞬です」 だから、そういうの、いらない情報だからね。 一瞬とか。 でも、 ありがとう。 以上が、9月から11月の終わりにかけて、ヒロスエさんとタケゾーの間にあった出来事です。 大和では、はっきり話が出来なくてすいませんでした。 ちょっとまだ生々しくて、うまく話せそうになかったのと、話したところで盛り上がらない内容だったので。 冬の温泉、どうやら今年中は無理そうです。 来年、実現したら、またレポするかもしれません。 自分の胸の内だけにしまっておきたい、と思ったらごめんなさい。 そしてそれ以前に、実現しないかもしれませんし。 ここまで読んでいただいた皆さん、長々とお付き合いありがとうございました。 そして、完全に情報局の趣旨と外れている内容のコラムをずっと掲載していただいた運営の皆さま、ありがとうございました。 もうすぐ今年も終わりですね。 皆さん、どうぞよいお年を。 そしてたぶん一日はやいと思いますが、 メリークリスマス。 | |
この風俗コラムへの応援コメント(23件中、最新3件)
- 被ボディーブロー(135)2019/1/1>>タケゾー5(57)の『○○○○さんレポ 初冬編』のコラムお疲れ様です!遅くなりすみません(^^;
まず、文章お上手ですね(^-^)小説のエンディング近くを読んでいる様に、引き込まれながら読み進めました。心地よい間と気の利いた会話。会話は何となくストレートでは無く、少し趣を与え、こちらに少し考えさせるような構成。それがまたいいですね(^-^)
内容は切ないですね。私はヒロスエさんとの出会いからの描写が好きです。そんな尖ったヒロスエさんが、色々社会に揉まれながら、タケゾー様に多く助けられ、お互い惹かれて行く様はとても素敵でした。こうなるには時間と切っ掛けが必要ですよね。と考えるとこうなったのも必然かもしれません。
ヒロスエさんからの問いかけには、タケゾー様は応えられませんよね。それは・・・
映画の様に切ないです。温泉行かれたら是非レポお願い致します(^-^)