タイトル | 卒業式 |
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投稿者 | 格付屋 |
投稿日 | 2019年02月19日 |
『卒業式』 このお店の名前は現「〇〇〇〇」元の名前を「〇〇○」と言います。 そう・・・去年の4月にレポを書かせていただいた、キスして再会を思い出したあの姫との思い出のお店。 しばらくお店に在籍があったので「もしかしたら…」と思っていたのですがいよいよそれも消えてしまったので思い出をコラムに書こうと思いました。 今頃は本業も落ち着いて楽しい日々を送っているはず。 幸せになって欲しいなあ… さて…想いが風化しないうちに記録しておくことにしましょう… 〇〇○で再会をしてからと言うもの時々逢いに行ってました。 いつものように手土産を持ち指名をして席で姫の登場を待ちます。 他のお客さんについている姿を見ても、激しいサービスをしている姿を目の当たりにしてもそれはご愛嬌。 腕を組んでそのお客を見送れば僕の順番。 僕といるときに僕のことを考えてくれればそれでイイ。 二人の時間を楽しみにしていました。 「お待たせしました~」 「ただいま~^^」 「お帰りなさい!*^^*」 いつもの笑顔が待っています。 クリクリした目が本当にかわいい。 縛ってこの娘の気持ちの良いところを刺激し続けたらこの姫はどうなっちゃうんだろう?なんて考えるだけでJrは固くなります。 「今日のお土産は鎌倉のレストランで買ったスナックなんだ。いつも甘いものが多いからたまにはね。」 「いつもありがとう。鎌倉に行ったのね。いいなぁ・・・」 「そぉねぇ~鎌倉は美味しいお店がたくさんあるから~今度一緒に行こうか!」 「もぉ~格さんはいつもからかってばかり・・・」 「ここのガーリックポテトとカレーが抜群に美味しくてね。」 「いいなぁ~カレー美味しいの食べたいなぁ~」 「いい子にしてた?」 「いつもいい子だもん!」 「そぉかぁ?でも今日は少し悪い子だぞ~」 「えぇぇ~いつもいい子だもん!」 「少し髪を切ったろう?」 「うん・・・分かった?」 「そりゃ分るさ。この間までだいぶ伸びてきたと思ってたから。」 「長いの好きなの?」 「うん。お好みはロングヘアだよ。」 「あ~嫌われちゃった~」 「今日から毎日早く伸びるよう髪の毛引っ張りなさい❗」 「いいもん。エクステして格さんの目の前に現れるもん(*ノ▽ノ)」 ちょっとばかり拗ねた顔を横目に僕は彼女の肩を抱きます。 そしてしっかり視線を合わせると微笑む姫。 たまらずギュッと抱きしめると一気に二人の距離が近づきます。 髪を優しく撫でると目をつぶる姫。 そして重なりあう唇・・・ ゆっくりとひさしぶりの感触を楽しむように柔らかな唇を甘噛みします。 そして再び強く抱きしめると吐息が軽くもれ、BGMと共に消えていきます。 「ねぇ・・・格さん・・・」 「んん?どうしたぁ?」 「あのね・・・」 「うん」 「私…辞めることにしたの・・・」 「えぇぇぇっ~~~~~❗❗」 言葉は途切れ店内の明るいBGMだけが鳴り響いています。 「ごめんね。」 流れるBGM… 「謝る話じゃないけど・・・でもどうして?」 「うん・・・そろそろ本業も忙しいし。いつまでも続けられないから…」 「そうだよね・・・」 またもしばらく二人の間に沈黙が流れます。 いつかこの日が来ることは分かっていたこと。 そしていつか旅立っていくことも分かっていた。 でも… もう会えなくなるという現実を目の当たりにして得体のしれない寂しさに僕は声を失っていました。 沈黙を破るように言葉を発する彼女。 「前のお店のときには言えなかったけど、今回は格さんにちゃんと言えたよ^^」 そう言って少し寂しげな目の中に安堵の色が浮かんでいました。 (あぁ・・・このことをずっと言えずに苦しんでいたんだな・・・) 「いつごろ決めたの?」 「実はもう随分前からそろそろ辞めなくちゃ・・・って。」 「うん・・・」 「格さんには絶対伝えなくっちゃ!って逢う度ずっと思ってた・・・」 (ここまで僕のことを…) 「苦しかったね。でもよく言ってくれたね。ありがとう。」 僕は力の限りその姫を抱きしめました。 その卒業発言を聞いた後、彼女の出勤は不安定になりました。 勤務に上がっても当欠。あるいは急に出勤・・・ 何度となくお店に行っては当欠をその場で聞き、仕方なくそのまま自宅に引き返しました。 大塚に遊びに行っているのだから他のお店で遊んで帰ってもよさそうなもんですが、その姫に逢いに行っているのに、いないからと言って他の姫と遊ぶ気に全くなれなかったのです。 ただヌキたい。 それとはまったく違った感覚でした。 その姫だからヌキたい。その姫以外に抜かせたくない・・・ そんな感覚だったのかもしれません。 (その姫の出勤時は全て会いに行こう❗) それからと言うもの可能な限り僕は通いました。 それでもXデーはやってきてしまいます。 最終日僕は早く会社を後にし姫の大好きなチョコレートケーキを買いに自由が丘へ向かいます。 「パリセベイユ」 僕が思う絶品チョコレートケーキ屋さん。 お店はいつ行ってもお客さんがいなかったことはない。チョコレートケーキだけで6~7種類が置いてある。ぼくのお勧めはオレンジピールが入ったものとチョコレートムース。特にムースは濃厚でふわふわの食感の中にサクサクとしたメレンゲの相性が抜群。香りも食感も楽しい逸品に仕上がってる。オペラもシンプルで本当に美味しいけど今日はオランジュとムースで。 姫の喜ぶ顔が目に浮かぶ。 でも…今日で最後。 寂しくないと言えばウソになる。 でも・・・ 僕にできることは、姫が喜ぶであろうことに全力を傾けるだけ。 分からない未来を不安視しない。 「目の前の僕にできることに全力を注ぐ。」 昔からそうやって生きてきた。 過去の事実は変えられない。未来は誰も分からない。 だから僕は・・・ 「今を生きる」 「今を生きるしかできないんだ❗」 そう言い聞かせ大塚へ向かいました。 入口ではいつもの背の高いイケメンボーイが僕の顔を見て案内してくれた。 「今日はすぐ行けます!」 「今日は90分で!」 迷わず僕はそう答えた。 「ただいま」と「お帰りなさい・・・」そして楽しい時間は過ぎていきました。 ラストコールが店内に響いたときには僕と姫は話すこともなく、お互いの指を絡ませ、ただただ見つめあっていました。 うっすらと姫の目が潤んでいました。 僕は固く固く彼女を抱きしめることしかできませんでした。 やがて終わりの時間を迎えます。 (僕はこの姫に何ができたのだろう?) (何を求めていたのだろう?) 答えのない自問を繰り返していました。 でも最終行き着くところはいつも同じ。 それを彼女に伝えよう。 最後の最後にもう一度力いっぱい抱きしめました。 そしてつぶらな瞳をじっと見て伝えようとしました。 相変わらずのつぶらなうるんだ瞳・・・ 「卒業おねでとう。」 「ウン…」 言えませんでした。 「じゃぁ・・・行ってくるね!」 次があるかのようにそう言い残して僕は彼女の髪にキスをし店を出ました。 いつものエレベーター前での振り返りはできませんでした。 自分の顔がすごい顔になっているのが分かるから・・・ エレベーターを降りると、寂しさとモヤモヤ感とできることはやりきった感が交錯していました。 (こんなにもココロがざわついたのはこの姫が生まれてきてくれたからこそなんだ。) 同じところに行きつく言葉。 それは… 「生まれてきてくれてありがとう。 そして僕と出逢ってくれてありがとう。」 でした。 僕は彼女のこれからの人生が豊かで実りあるものになることを願わずにいられません。 (はぁ…伝えられなかったなぁ…) 木枯らし吹くなか僕は少しのため息のあと大きく深呼吸しました。 (縁があればいつかきっと…) (成住壊空…今はただ…) 胸を張りコートの襟を立て一歩を踏み出したのでした。 | |
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