タイトル | はじまりの日 |
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投稿者 | 子守唄はHIPHOP |
投稿日 | 2023年11月01日 |
『はじまりの日』 一夏の恋。風俗ユーザーには本当によくある話。 風俗嬢にいつしか勝手に恋心を抱き、さよならをちゃんと告げられずに今はもうもう逢えなくなってしまった不惑手前の既婚者。 小説にしたら完全に駄作と仕分けられてしまう物語。それでも今の自分にとっては、思い出にするにはまだ感情が鮮明すぎて筆を取った次第。 きっかけはX(当時Twitter)。夫婦の営みがとあるきっかけを堺になくなり、年に数回程度吉原へ通うようになった男がTwitterでたまたま目にした1人の女性。 歳も一回り以上離れており、万が一恋に落ちたとしても、既婚者であるその男にとってその恋に先なんて当然あるわけもなく。本当に一度で良いからお逢いしてみたい、といった心情だった。 ちょうど前店を退店された空白の時期に彼女を知り、業界卒業でなく移籍される話を聞きつけお店へ即予約連絡。 実際にお逢いした際、クールなお姉さんタイプが好みの男としては、小柄であまりに可愛らしく逆に負い目を感じてしまいそうな女性且つ「風俗は恋する場所じゃない…(ニュアンスです)」と先に相手から釘を刺されたこともあり、自分は大丈夫!と男はタカを括って連絡先を交換してその日はお別れ。 後日お礼を兼ねて某サイトへ口コミ投稿したところ、そのお礼日記がとても知性を感じる内容で、読書好きな男にとって真っ直ぐに刺さる内容だった。そんな素敵な女性に下心を抱いた男は自己嫌悪を抱きつつ、「こんな仕事だから先のことはわからない」という言葉に焦燥感を覚え、その更なる移籍店へ定期的に通うように。 何回かの逢瀬を重ね、好きな音楽や食べ物、本や映画の話を通じて彼女の内面に触れる機会が増え、相手がポロッと出した弱みを聴く頃には既に惹き込まれていたのだろう。お互いにペットと暮らしており、ペットに対する考えが妻のものよりその男に近しいこともその一因だったのかもしれない。 男が逢瀬何日か前に風邪をひき、このご時世迷惑をかける訳にも…と、一度キャンセルしてしまった枠が空白だと知れば予約を取り直して通い、迷惑をかけた申し訳なさで浮かない顔をしている男に「キャンセルの件は大丈夫。それ以外で悩んでることあるの?」と。…当然、彼女に心から惹かれてしまったが故の物憂さを伝えるわけにもいかず。 『彼女に依存するわけにもいかない』。自己投資にそれ以上の金額を費やすことで一線を引けている。…いや、言い聞かせていた。そう自分に言い聞かせている時点で彼女を強く意識していたのだろう。 「今会える約束ができるのは◯月までかなー」…今となってはお別れのサインだったのだろう。その該当月以降の出勤予定を素直に受け取ってしまっていたことを今は悔いるばかり。最期に逢えた日も、これがお別れの日なのだと浅はかな男は気付くこともできず、業界卒業が近いことを喜ばしいことと伝え、彼女が口にした「何かしらのナイトワークは続けるつもり」。その言葉通り、どんな業態であろうとも報告は得られるものとタカを括っていた。当然、そちらに通うつもりでいた。むしろ自分以外の顧客に身体を許すことがなくなることを安堵した程だ。 業界上がりを示唆するように、出勤予定の日に姫予約を取ろうと連絡しても既読がつかなくなり、連絡手段が一つずつ消えていく…。 お店に予約を直接取り、当日身支度を済ませ吉原へ向かう直前に当日連絡をしたところ…「〇〇さんは体調不良のためお休みになりました」。この時男は悟った。連絡が返ってこなくなったのは業界で知り合った人間との訣別なのだと…。その後日、お店のパネルから彼女の写真は消えていた。 今朝、お別れの後にはじめて夢に出てきた彼女。どうか彼女の心が健やかで在らんことを願って。 | |
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